ROOM NO.1301 シリーズ
昔、夏目漱石とかの近代青春恋愛小説をストーリーはそのままに、文章とかはライトノベル風に描き、挿絵は萌え系で、そうしたら売れるのではないかとか居酒屋の与太話で話したことがある。読書感想文で文学批評家でも解釈に悩むような作品をそのまま中学生とかに読ませても読まないだろう。だったら、本当の深層には届かないかもしれないけど、ある程度のとっつきやすい表面があれば良いんじゃない?大体、専門にしている批評家ぐらいしか小説の深層の深層まで勝手に読み取ってくれるなんてことしないよ、とかそういった与太話だったんだけど、家に帰ってからライトノベル風夏目漱石は何かある種面白い作品になるだろうなあと考えた記憶がある。
amazon の紹介に載っている「ちょっとHで、ちょっと切ない恋に悩む健一の日常を描く、ハート・ウォーミングな物語」は確かにその通りなんだが、何かが違うような気がする。きっとそれは「三四郎」を「田舎から出てきた青年が都会に面食らったり小悪魔的な女性に恋したりする物語」と評されるのと似たような物なのだろう。ライトノベルにしては珍しく、ある種の割り切れなさがそこには存在する。